竜吐水りゅうどすい)” の例文
旧字:龍吐水
四尺上に往きましたけれども御承知の通り、水は高うございますから、やはり竜吐水りゅうどすいのように向こうの方によく落ちるのです。
後世への最大遺物 (新字新仮名) / 内村鑑三(著)
……おかげで、こちとらは、水だ、竜吐水りゅうどすいだ、で、えらい骨を折らされた、と言っていた。……どうだ、ひょろ松、これでも妙だとは思わないか
顎十郎捕物帳:07 紙凧 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
荒削あらけずりの巨大な柱がすすけた下に、大寺院の庫裡くりで見るような大きな土竈へっついがある、三世紀以前の竜吐水りゅうどすいがある、漬物の桶みたようなのがいくつもころがっている。
鳶口とびぐち、木製の竜吐水りゅうどすい、強がりは清正のかぶと、銀紙の名刀、神楽の面は木彫の上物もあって、外道げどうひょっとこ、天狗、狐乃至は素盞嗚尊すさのおのみことなどすばらしい出来
明治世相百話 (新字新仮名) / 山本笑月(著)
消防夫ひけしとびといって、梯子はしご持ち、まとい持ちなどなかなか威勢のいものであるが、その頃は竜吐水りゅうどすいという不完全な消火機をもって水をはじき出すのがせきやまで、実際に火を消すという働きになると
さあ大変と早鐘やスリバンの響きに狼狽の体、竜吐水りゅうどすいを持ち出すやら、四斗樽へ水を運ぶやら。
明治世相百話 (新字新仮名) / 山本笑月(著)
その御託宣をかしこまって人夫をかり立てるお取持——えんやえんやで竜吐水りゅうどすいが繰込んで来る、蛇籠じゃかごが持ち出されるという光景を見て、米友がばかばかしさを通り越して
大菩薩峠:29 年魚市の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)