べっつい)” の例文
この人たちはただに酒家妓楼ぎろう出入いでいりするのみではなく、常に無頼ぶらいの徒と会して袁耽えんたんの技を闘わした。良三の如きは頭を一つべっついにしてどてらを街上かいじょう闊歩かっぽしたことがあるそうである。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
冬の光は明窓あかりまどから寂しい台所へさしこんで、手慣れた勝手道具を照していたのです。私は名残惜しいような気になって、思乱れながら眺めました。二つべっついは黒々と光って、角に大銅壺おおどうこ
旧主人 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
柱に縛付しばりつけてあった細引ほそびきへ火が付きますと、もとより年数のってしょうのぬけた細引でございますから、焼け切れますると、の箱が一つべっついへ当り、其のはずみに路地へ転げ落ちましたから