稚子をさなご)” の例文
遠近をちこちやまかげもりいろのきしづみ、むねきて、稚子をさなごふね小溝こみぞとき海豚いるかれておきわたる、すごきはうなぎともしぞかし。
五月より (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
くれにむかひてすゝむ日のなほ殘せる路の長さは、たえず戲るゝこと稚子をさなごのごとき球のうち 一—
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
稚子をさなごのやうに成りて正雄の膝を枕にして寐る時あり、誰が給仕にても箸をば取らずと我儘をいへれど、正雄に叱られて同じ膳の上に粥の湯をすゝる事もあり、癒つて呉れるか。
うつせみ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)