きぬた)” の例文
江戸演劇に用ひらるる鳴物はひとり三絃の合方のみにとどまらず本釣鐘ほんつりがねときの鐘、波の音、風の音、雨車あまぐるまの如きを初めとし、こだまきぬた虫笛むしぶえ
江戸芸術論 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
この狂言では桃井家の後室きぬたの前がこの古城にかくれ棲み、妖怪といつわって家再興の味方をあつめるという筋で、若殿陸次郎などというのもある。
小坂部伝説 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
疳癪がおこつた時には表の米屋が白犬をると思ふて私の家の洗ひかへしを光沢出つやだしの小槌こづちに、きぬたうちでも遣りに来て下され、それならばお前さんも人に憎くまれず私の方でも大助り
わかれ道 (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
きぬた青磁なんといっておりますのはすなわちそれであります。
都には風のつてにも稀れなりしきぬたのおとを枕にぞ聞く
中世の文学伝統 (新字新仮名) / 風巻景次郎(著)
疳癪かんしやくがおこつたときにはおもて米屋こめや白犬しろいぬるとおもふてわたしうちあらひかへしを光澤出つやだしの小槌こづちに、きぬたうちでもりにくだされ、それならばおまへさんもひとにくまれずわたしはうでも大助おほだすかり
わかれ道 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
疳癪がおこつた時には表の米屋が白犬をると思ふて私の家の洗ひかへしを光澤出つやだしの小槌に、きぬたうちでも遣りに來て下され、夫れならばお前さんも人に憎くまれず私の方でも大助かり
わかれ道 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)