けん)” の例文
珍しい硯を百面以上も集めて、百けん箪笥といつて凝つた箪笥にしまひ込んで女房や鼠などは滅多に其処そこへ寄せ付けなかつた。
古松研 (新字旧仮名) / 薄田泣菫(著)
されど、嗚呼ああされど、予はけんに臨んで、なほ惶々くわうくわうとして自ら安からざるものあるを覚ゆ。おもふに予が過去を点検し記載するは、予にとりてふたたび過去の生活を営むと、畢竟ひつきやう何の差違かあらん。
開化の殺人 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
昨日けんを発したばかりの色なんです、今時の代用安絵具とは違います、絵かきが垂涎すいえんしておりますよ、こんな朱が欲しいものだ、ドコカラ来た、舶来? 国産? いかなる費用と労力をかけても
大菩薩峠:41 椰子林の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
珍しい硯を百面以上も集めて、百けん箪笥たんすといつて凝つた箪笥にしまひ込んで女房や鼠などは滅多に其処そこへ寄せ付けなかつた。