まなじり)” の例文
この時貫一は始めて満枝のおもてまなこを移せり。ももこびを含みてみむかへし彼のまなじりは、いまだ言はずして既にその言はんとせるなかばをば語尽かたりつくしたるべし。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
アントニオよ、わらはを殺せ、妾を殺せ、只だ妾を棄てゝな去りそと、夫人は叫べり。其かほ、其まなじり、其瞻視せんし、其形相ぎやうさう、一として情慾に非ざるものく、しかも猶美しかりき。
先例は藩主出でて席に就き、前列の重臣等のおもてを見わたし、「めでたう」と一声呼ぶのであつた。然るに正弘はまなじりを放つて末班まで見わたし、「いづれもめでたう」と呼んだ。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
ゑみただふるまなじり微醺びくんに彩られて、更に別様のこびを加へぬ。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
一念のれるまなじりは直行のほかを見ず
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)