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眶
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まぶち
ふりがな文庫
“
眶
(
まぶち
)” の例文
「どこから。」といって勇美子は嬉しそうな、そして
頭
(
つむり
)
を下げていたせいであろう、
耳朶
(
みみもと
)
に少し汗が
染
(
にじ
)
んで、
眶
(
まぶち
)
の染まった顔を上げた。
黒百合
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
『あゝ。』と細君は
襦袢
(
じゆばん
)
の袖口で
眶
(
まぶち
)
を押拭ふやうに見えた。『父さんのことを考へると、働く気もなにも失くなつて了ふ——』
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
阿母
(
かあ
)
さんに度々起されて、しどけない
寝衣姿
(
ねまきすがた
)
で、
脛
(
はぎ
)
の露わになるのも気にせず、眠そうな
面
(
かお
)
をしてふらふらと部屋を出て来て、指の先で無理に眼を押開け、
眶
(
まぶち
)
の裏を赤く反して見せて
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
今朝
(
けさ
)
見ると彼女の眼にどこといって
浪漫的
(
ロマンてき
)
な光は射していなかった。ただ寝の足りない
眶
(
まぶち
)
が急に
爽
(
さわや
)
かな光に照らされて、それに抵抗するのがいかにも
慵
(
ものう
)
いと云ったような一種の
倦怠
(
けた
)
るさが見えた。
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
膚
(
はだへ
)
の皺は繁くして、縮めたる網の如し。黒き瞳は
眶
(
まぶち
)
を
填
(
う
)
めん程なり。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
▼ もっと見る
細君は
襦袢
(
じゆばん
)
の袖口で
眶
(
まぶち
)
を押拭ひ乍ら、勝手元の方へ行つて
食物
(
くひもの
)
の
準備
(
したく
)
を始める。音作の弟は酒を買つて帰つて来る。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
トいわれて文三は漸く
頭
(
こうべ
)
を
擡
(
もた
)
げ、
莞爾
(
にっこり
)
笑い、その癖
眶
(
まぶち
)
を
湿
(
うる
)
ませながら
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
克く見れば、奥様は両方の
眶
(
まぶち
)
を
泣腫
(
なきは
)
らして居る。唯さへ気の短い人が余計に感じ易く激し易く成つて居る。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
眶
部首:⽬
11画
“眶”を含む語句
眼眶
眶毛
腫眶
御眶
目眶
眶越