めまい)” の例文
上物のよろいだけでも三、四十りょう、ほか具足やら腹巻やら、かずと来たら、ちょっと、めまいがしそうな程のおあつらえだ。ただ弱ったのは日限さ。
私本太平記:03 みなかみ帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
急にめまいがすると云って、額を押えながら引退ってしまいましたので、これ以上何も訊くことが出来ませんでしたが、お梶さんのこの様子を見て、この写真と文夫さんの自殺との間には
蛇性の執念 (新字新仮名) / 大倉燁子(著)
四名ぐらいめまいする者ができたり、その他いろいろの病人が起こるので、監督の先生たちは、そういうことに始終しじゅう気をつけていられるし、また係りのお医者もあって、そんなことがあると
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
急に彼は、海にめまいを起したような眉をして杯を下におき、眉の辺を指で抑えた。——が、すぐケラケラ笑い出して
私本太平記:06 八荒帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
今試験をしておりますが、昨日きのう自宅うちめまいがしましたから、今日ももしやそんなことでもないかと思って、ここに待っております。まさかの時にはれて帰るつもりで、くるまを頼んでまいりました。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
そんな者の妻とは見えぬ嫋々なよなよしさであった。なしの花みたいな皮膚である。いやいや、かりに五ツぎぬを曳かせ、雲のびんずらに、珠のかざしかざさせなば……と、鬼六はめまいのような空想にとらわれた。
私本太平記:03 みなかみ帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)