真下まっした)” の例文
旧字:眞下
多津吉は、たらいのごとき鉄鉢を片手に、片手を雲に印象いんぞうした、銅像の大きな顔の、でっぷりしたあご真下まっしたに、きっと瞳をげて言った。
遠くの眺望から眼を転じて、直ぐ真下まっしたの街を見下みおろすと、銀座の表通りと並行して、幾筋かの裏町は高さの揃った屋根と屋根との間を真直に貫き走っている。
銀座 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
……此を高櫓たかやぐらからあり葛籠つづら背負しょつたやうに、小さく真下まっしたのぞいた、係りの役人の吃驚びっくりさよ。おもてむしばんだやうに目がくらんで、折からであつた、つの太鼓を、ドーン、ドーン。
妖魔の辻占 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)