相果あいは)” の例文
老母、妻にも、こころざしは申し聞けず、様子にて、さとり候も不知しらず、いよいよ相果あいはて候わば、ははつまの儀、御芳志たのみ奉り候。
一、父は不忍しのばずの某酒亭にて黒田藩の武士と時勢の事につき口論の上、多勢に一人にて重手おもで負い、無念ながら切腹し相果あいはつる者也。
斬られたさに (新字新仮名) / 夢野久作(著)
かゝる次第ゆえ、此の始末を娘が聞知きゝしる時は、うれいせまやまいおもって相果あいはてるか、ねがいの成らぬに力を落し、自害をいたすも知れざるゆえ、何卒どうぞ此の事ばかりは娘へ内聞ないぶんにして下さらば
切腹いたしてもと思うが、死は易し、今この時政が相果あいはてなば、いよいよ一家の者の当惑を加うるばかりで、意味はおざらぬ。
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
この男子壮年に及びて子宝こだから幾人いくたりを設けしのち、又も妻女の早世にふとひとしく乱心仕りて相果あいはて候。その後代々の男子の中に、折にふれ、事にさわりて狂気仕るもの、一人二人と有之これあり
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
さてはなんじは、悪入道あくにゅうどう遺臣いしんであったか、主人梅雪がすでに醜骸しゅうがい裾野すそのにさらして、相果あいはてたるに、いまだいのちほしさに、呂宋兵衛るそんべえの手下にしたがっているとは臆面おくめんなき恥知らず、いで
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)