生仏いきぼとけ)” の例文
旧字:生佛
仏教をたっとぶ市民達はその仏教の教主たるところの噠𡃤喇嘛その人を生仏いきぼとけとして尊信し、その喇嘛のおわす宮殿を神聖不可侵おかすべからざる場所とした。
喇嘛の行衛 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
一般の善男善女の前には生仏いきぼとけと渇仰される生仏だから、仏の一種に相違あるまい、その仏を迷わせて地獄におとしたのが、今のあの手弱女たおやめだ。
大菩薩峠:40 山科の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
仏だ、ああ痛え! おお痛え! いいえ、旦那は生仏いきぼとけでござんす。悪態あくたいついた野郎を憎いとも思わねえで、御親切な御手当は涙がこぼれます。
生仏いきぼとけさまの血脈おちすじが、身分が定まってしまったのだから、信徒の人々には一大事で浅間あさましき末世とさえおもわれたのだ。
九条武子 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
白「はゝア、お前は良石和尚と心安いか、あれは名僧だよ、智識だよ、実に生仏いきぼとけだ、茶は其処そこにあるから一人で勝手に汲んでお上り、ハヽアお前は侍さんだね、何歳いくつだえ」
金挺かなてこを持ちながら、あのお経を聞くと、急にそれが堪らなくなつて、自分で自分を忘れて、そして飛び出して行つた。えらい和尚さまだ。生仏いきぼとけだ。この恩は忘れられない。これからは俺は善人だ。
ある僧の奇蹟 (新字旧仮名) / 田山花袋(著)
「親鸞さまは、むかしのお上人しやうにんさまぢや、生仏いきぼとけさまぢや。」
さがしもの (新字旧仮名) / 土田耕平(著)
しかし、木喰五行というのは、ともかくもこのお婆さんと同じ郷里にあって、そうしてその上人様が世にも稀な生仏いきぼとけのような徳の高い坊さんであったということは想像されるのです。
大菩薩峠:35 胆吹の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
生仏いきぼとけ——」かう言つてその人も話した。
ある僧の奇蹟 (新字旧仮名) / 田山花袋(著)