環視かんし)” の例文
当時外国公使はいずれも横浜に駐剳ちゅうさつせしに、ロセツは各国人環視かんしの中にては事をはかるに不便ふべんなるを認めたることならん、やまいと称し飄然ひょうぜん熱海あたみに去りて容易よういに帰らず
忠明は、心得たりと、わざと大刀は門弟にあずけ、鉄扇ひとつ携えて、衆人環視かんしのまん中へ出て行った。
剣の四君子:05 小野忠明 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
衆人環視かんしの部屋のなかで強制的にやらされるんでは、どうも——たとえヨシコは人の眼から隠していても、そのヨシコのさきにコップを当てがって、小便をするんでは
いやな感じ (新字新仮名) / 高見順(著)
京都のひとは、「はれがましい」という言葉ことばを使う、すなわち東京のいわゆる、「きまりが悪い」の意で、目立つ所に立ち、多数の環視かんしのもとに出ることをはれがましいといって引込ひっこむが
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
衆人環視かんしのなかに出てきたのは、この鍋と、ありがたく頂戴の紙きれであった。
丹下左膳:02 こけ猿の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
あなたが、衆人環視かんしのなかで泣いていたのです。
オリンポスの果実 (新字新仮名) / 田中英光(著)
晴れの盛儀になるとたれの顔もみなよそゆきになって、衆目の環視かんしがその自意識を過剰にさせる。
私本太平記:13 黒白帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
満目環視かんしのなかでお粂を殺してみせようと計りましたが、かれに用意があったため、伊兵衛と馬春堂の書いた狂言は、今も彼等のいっている通り、あんまりうまく当り過ぎました。
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
群集の環視かんしにつつまれて、退ッ引きならない破目に立った重蔵と千浪とは、今や、どこまで足許をつけ込んでくるこの無頼ならず者の難題にまったく当惑してしまった。と、蓆囲むしろがこいの蔭から
剣難女難 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ばっと人々の環視かんしの中へ駈け出して行ったので
山浦清麿 (新字新仮名) / 吉川英治(著)