玉藻前たまものまえ)” の例文
例えばいん紂王ちゅうおう、生蕃軍、玉藻前たまものまえ、○○侯等の暴虐の図、又は普通の美人や少年などに血をあしらった場面等の注文が次第に殖えて来た。
東京人の堕落時代 (新字新仮名) / 夢野久作杉山萠円(著)
しょうわるで有名な柏源かしげんさんまで手玉にとるところなんかさ——玉藻前たまものまえじゃないけれど、いまにきっと尻尾しっぽを出すからみてごらん
契りきぬ (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
黒く茂っている植え込みをぬきんで、聳えている高殿の姿であり、その高殿の廊の欄干に、のしかかるように体を寄せて、じっと二人を見下ろしている、絵本で見た玉藻前たまものまえのような
あさひの鎧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
おしまいに日本にっぽんくにて、いんさまのお使つかいの女になって、玉藻前たまものまえのりました。わたしをおそばへおちかづけになってから、いんさまは始終しじゅうおもいおやまいにおなやみになるようになりました。
殺生石 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
「さしずめ、お部屋は、玉藻前たまものまえと申すところでござるな」
南国太平記 (新字新仮名) / 直木三十五(著)
きになったこともあるでしょうが、じつはわたしは、むかしなにがしのいんさまの御所ごしょ使つかわれた玉藻前たまものまえというものでございます。もとをいいますと天竺てんじくんだ九のきつねでした。
殺生石 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)