くろ)” の例文
七官青磁といふのは天龍寺手よりもキメが荒いやうな感じのするもので、透明度はあるが青味が少しくろ味がかつてゐる、釉面に氷裂がある。
やきもの読本 (旧字旧仮名) / 小野賢一郎(著)
お婆さんは、ごくりごくりと咽喉のどを鳴らしながら水を呑んだ。お美代はすぐに眼を伏せて、膝の上の自分の手を見た。くろい肌には一面の赤いひびだった。
蜜柑 (新字新仮名) / 佐左木俊郎(著)
森の中の瀝青チャンのような、くろずんだ水溜りは、川流が変って、孤り残された上へ、この頃の雨でにわたずみとなったのであろう、その周囲には、緑の匂いのする、かびの生えた泥土があって、くるぶしまで吸いこまれる
梓川の上流 (新字新仮名) / 小島烏水(著)
目もすまにみつつくろき冬の土玻璃の缺片かけすら光りかへさず
白南風 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
よねくろきに
孔雀船 (旧字旧仮名) / 伊良子清白(著)
目もすまにみつつくろき冬の土玻璃の欠片かけすら光りかへさず
白南風 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
冴えにけりやなぎくろき根の土に春のぬくみのいまだいたらず
夢殿 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)