猿猴ましら)” の例文
一歩は高く一歩は低く、猿猴ましらのように肩で調子を取って歩む身体に、燕尾服えんびふくを着けてびっこを曳き曳き舞踏場の嵌木細工モザイクを踏む、社交界の笑われ者……ぶざまな道化の不具者!
陰獣トリステサ (新字新仮名) / 橘外男(著)
子を伴へる雌雄の猿猴ましらが、雪深き谷間鳴きつゝ過ぐる見ゆ
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
こめたりける此所は名におふ周智郡すちごほり大日山のつゞき秋葉山の絶頂ぜつちやうなれば大樹だいじゆ高木かうぼく生茂おひしげり晝さへくら木下闇このしたやみ夜は猶さらに月くら森々しん/\として更行ふけゆく樣に如何にも天魔てんま邪神じやしん棲巣すみかとも云べきみねには猿猴ましらの木傳ふ聲谷には流水滔々たう/\して木魂こだまひゞき遠寺ゑんじかねいとすごく遙に聞ば野路のぢおほかみほえて青嵐颯々さつ/\こずゑ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)