すい)” の例文
ト、いへば猟犬かりいぬ打点頭うちうなずき、「さもありなんさもこそと、某もすいしたり。さらば御身が言葉にまかせて、某が名も名乗るべし。 ...
こがね丸 (新字旧仮名) / 巌谷小波(著)
三囲みめぐり祠あり。中流より望みてその華表とりいの上半のみ見ゆるに、初めてこれを見る人もすいしてその三囲祠たるを知るべし。
水の東京 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
徳川氏からの使の旨で秀吉の意をすいすれば、秀吉は政宗が勝手な戦をして四方を蚕食しつつ其大を成すをよろこばざること分明であることが、政宗の胷中きょうちゅうに映らぬことは無い。
蒲生氏郷 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
「われこのままに不具の犬とならば、年頃の宿願いつかかなへん。この宿願叶はずば、養親やしないおやなる文角ぬしに、また合すべきおもてなし」ト、切歯はぎしりして掻口説かきくどくに、鷲郎もその心中すいしやりて
こがね丸 (新字旧仮名) / 巌谷小波(著)
あるいは皇太孫の大位に登らざらんことを欲する者あり、太孫の年わかゆう乏しき、自ら謙譲して諸王のうちの材雄に略大なる者に位をゆずらんことを欲する者ありしがごときをもすいせしむ。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
やよ、黄金丸、今日はなにとてかくはおそかりし。待たるる身より待つわが身の、気遣きづかはしさをすいしてよ。いぬる日の事など思ひ出でて、安き心はなきものを」ト、喞言かことがましく聞ゆれば
こがね丸 (新字旧仮名) / 巌谷小波(著)