独語つぶや)” の例文
旧字:獨語
も一度行つて上人様の御言葉ぢやと欺誑たばかり、文句いはせず連れて来い、と圓道に烈しく叱られ、忌〻しさに独語つぶやきつゝ七藏ふたゝび寺門を出でぬ。
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
と根本はしんから独語つぶやいた。
重右衛門の最後 (新字旧仮名) / 田山花袋(著)
まゆしわむる折も折、戸外おもてを通る納豆売りのふるえ声に覚えある奴が、ちェッ忌々いまいましい草鞋わらじが切れた、と打ち独語つぶやきて行き過ぐるに女房ますます気色をしくし
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
徳を慕ひ風を仰いで寄り来る学徒のいと多くて、其等のものが雨露凌がん便宜たよりもとのまゝにては無くなりしまゝ、猶少し堂の広くもあれかしなんど独語つぶやかれしが根となりて
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
徳を慕い風を仰いで寄り来る学徒のいと多くて、それらのものが雨露しのがん便宜たよりもとのままにてはなくなりしまま、なお少し堂の広くもあれかしなんど独語つぶやかれしが根となりて
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
反響ひゞきのみは我が耳に堕ち来れど咳声しはぶき一つ聞えず、玄関にまはりて復頼むといへば、先刻さき見たる憎気な怜悧小僧こばうずの一寸顔出して、庫裡へ行けと教へたるに、と独語つぶやきて早くも障子ぴしやり。
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
反響ひびきのみはわが耳にち来れど咳声しわぶき一つ聞えず、玄関にまわりてまた頼むといえば、先刻さき見たる憎げな怜悧小僧りこうこぼうずのちょっと顔出して、庫裡へ行けと教えたるに、と独語つぶやきて早くも障子ぴしゃり。
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)