独息子ひとりむすこ)” の例文
岸田が犬死になって可愛そうだから、独息子ひとりむすこ無理無体むりむていに貰って来たのがうちにいる多助さ、あんたの為には甥でがんす、其処そけえ又貴方あんたわしが助けて
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
ところが、私が如何どうにか斯うにか取続とりつづいて帰らなかったので、両親は独息子ひとりむすこたまなしにしたように歎いて、父の白髪しらがも其時分僅のあいだ滅切めっきえたと云う。
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
寿商店ことぶきしょうてん独息子ひとりむすこ新太郎君しんたろうくんが三度目の診察を受けた時、丹波たんば先生は漸く転地を勧めてくれた。
脱線息子 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
又その家に十八、九の倅があっ独息子ひとりむすこ、余りエライ少年でない、けれども本は読まなければならぬと云うので、ソコでその倅に漢書を教えてらなければならぬ。是れが仕事の一つ。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
人柄の好い伯母も問題が独息子ひとりむすこのことになると決して負けていない。
脱線息子 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)