狩野永徳かのうえいとく)” の例文
狩野永徳かのうえいとくのふすま絵にたたずみ、繧繝縁うんげんべり高麗縁こうらいべりの畳に目をみはり、みがき立てた金壁に気もすくみ、恍惚こうこつとした心地で白洲へ降りると
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
たとえばよその寺で狩野永徳かのうえいとくの筆を見せられた時に「狩野永徳の筆」という声が直ちにこの人の目をおおい隠して
案内者 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
「道場——それそれ、とりあえず仙台城下、高橋玉蕉先生の道場で一本お手合せを願い、それより松島へまかり越して、観爛道場に推参して、狩野永徳かのうえいとく大先生に見参仕る目的でござる」
大菩薩峠:34 白雲の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
信長の声は、金碧きんぺき丹青たんせいかがやくうちにただ一つある墨絵の一室——狩野永徳かのうえいとくが画くところという遠寺晩鐘図えんじばんしょうずふすまをめぐらした部屋の上段から大きく聞えた。
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ふすま、天井などの美術的意匠いしょうには、狩野永徳かのうえいとくが選ばれ、永徳はひとり自己の画派に偏せず、各派の名匠と凝議ぎょうぎして、畢生ひっせいの傑作をここにいて、久しい戦乱のため
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
欄間らんま壁障へきしょうはすべて総漆そううるし、襖には、狩野永徳かのうえいとくそのほか当代の巨匠きょしょうふでをそろえての間、芙蓉ふようの間、墨梅ぼくばいの間、遠寺晩鐘の間などと呼ぶにふさわしい彩管さいかんふるっている。
黒田如水 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
一面、彼のあった慶長から元和にわたっての絵画や工芸は、狩野永徳かのうえいとく、松栄などの歿後、狩野山楽や俵屋宗達たわらやそうたつなどの障壁画しょうへきがに代表されたように、豪華絢麗を極めた桃山風のまばゆい時代だった。
随筆 宮本武蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
師の狩野永徳かのうえいとくは、四十三、四歳、弟子の山楽さんらくは、二十五、六か。
新書太閤記:11 第十一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「こちらは、狩野永徳かのうえいとく様のお住居でございましょうか」
新書太閤記:11 第十一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)