特殊とくしゅ)” の例文
その無技巧むぎこうの丸い眼と、特殊とくしゅの動作とから、復一の養い親の宗十郎は、大事なお得意の令嬢だから大きな声ではいえないがと断って
金魚撩乱 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
あるものは演説口調くちょうで郷土の偉人いじんや、名所旧蹟きゅうせきや、特殊とくしゅの産業などを紹介しょうかいし、あるものは郷土の民謡みんよう舞踊ぶよう披露ひろうした。
次郎物語:05 第五部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
厭離一切娑婆世界おんりいっさいしゃばせかい厭世観えんせいかんは、ヘルンの多くの作品中に一貫いっかんして、その特殊とくしゅな文学情操の基調となってる。
緋おどし谷一たいは、ほとんど山百合やまゆりの花でうまっている。むしろ百合谷ゆりだにぶべきところだが、その盆地に特殊とくしゅな一部落ぶらくがあって、百合より名をなすゆえんとなっている。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
目的とする特殊とくしゅX線の強さは光電子の電流で測定するので、象限電位計を使うのである。
実験室の記憶 (新字新仮名) / 中谷宇吉郎(著)
それが欧州大戦おうしゅうたいせん以後、特に外科医げかいの方で注意され問題にされ研究けんきゅうされて、今日こんにちでは一つの新療法しんりょうほうとして、特殊とくしゅな外科的結核症けっかくしょう真珠工病オステオミエリチスなどというものの治療ちりょうに使う人が出てきた。
蛆の効用 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
徴兵ちょうへい検査で、本籍ほんせきのある高知県に帰ったとき、特殊とくしゅ飲食店を開いている伯父おじさんから商売がら廃娼はいしょう反対演説を聞いたあと、こっちも一杯機嫌きげんで、あなたの話をほのめかすと、伯父さんは
オリンポスの果実 (新字新仮名) / 田中英光(著)
特殊とくしゅな教育環境かんきょうにおいて練りあげたものを、世間という普通ふつうの社会環境においてためそうというのが主目的であったが、また近県在住の第一回以来の修了者しゅうりょうしゃたちと親交を結び
次郎物語:05 第五部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)