牢人ろうにん)” の例文
「どうもしない。御勘気ごかんきをうけて以来、牢人ろうにんして遊んでいたが、殿お討死を覚悟の御出陣と見て、お供に馳せ参じて来ただけのこと」
新書太閤記:02 第二分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「それはまたどういうわけだ、野武士、牢人ろうにんなら知らぬこと井伊どの旗本にいて槍のしたくができぬ筈もあるまい、なにか心得があってのことか」
青竹 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
吾人ごじんひそかにうれうらくは、昔国中の牢人ろうにんが競うて大阪城にせ集まった如く、いやしくも空中の音楽師の自由なる者の限り、ことごとく湖畔の白馬城に身を投じて
無智どころでは無い、器量人で。微力どころではない、やせ牢人ろうにんには余りある敵だ。ハハハハ、おもしろい。然様そう出て来ぬにも限らぬとは最初から想っていた。火が来れば水、水が来れば土。
雪たたき (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
大津口の並木の辻にも、その高札をとりまいて、黒山のように人が立っていた、その中に、黙然と腕をくんでいる牢人ろうにんていの男があった。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
以後牢人ろうにんしていた本多正信が、郎党十名ほど連れて、家康を伊賀山麓さんろくに迎え、そこから、先導せんどうに立って、道案内に努めてくれた一事である。
新書太閤記:07 第七分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「犬千代め。追放されて、何処へ身を寄せたか。牢人ろうにんも身のくすりじゃ。……これからちと世の苦労をすることであろう」
新書太閤記:02 第二分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
門下の者が、下手へたに動いて、助太刀したなどと評判されては、吉岡一門の大きな名折れだ。相手は多寡たかの知れた牢人ろうにん武蔵ひとり。静かにしていよう。
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
(寧子の家へは立ち寄ったろう。牢人ろうにんして国外へ去れば、いつ再会の日があるやら知れぬ。——立ち寄って一言ぐらいは、何か告げて行ったに違いない)
新書太閤記:02 第二分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
永い牢人ろうにん生活の後の貧しい中に父は死んで行ったので、召使もその後はいないが、元の雇人やといにんはみなこの宮本村の者ばかりなので、そのころの婆やとか仲間ちゅうげんとかが
宮本武蔵:02 地の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
遠い以前に斎藤家を牢人ろうにんしてしまったが、ここに明智十兵衛光秀あけちじゅうべえみつひでなる篤学な一青年がいて、かつて、鉄砲の研究に没頭し、その基礎をのこして行った貢献なのである。
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「何の。多寡たかの知れた山住居やまずまい牢人ろうにん一名が、御奉公に参るのに、迎えなどは」
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
一家一族は、ここ数年、ろくを離れ、放浪せざる牢人ろうにんの境遇であった。
剣の四君子:02 柳生石舟斎 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
武門に生きるかいもあるまい。——武士は一道か、牢人ろうにんかじゃ
新書太閤記:01 第一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
作州吉野郷よしのごう宮本村の牢人ろうにん宮本武蔵という者ですが。
宮本武蔵:03 水の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)