無礼講ぶれいこう)” の例文
旧字:無禮講
一行が市村座へついたのは巳刻よつ(午前十時)すぎで、茶屋からすぐ桟敷へ通ると、みすをおろして無礼講ぶれいこうの酒宴がはじまった。
救民を賑わし、町屋も業を休み、城中の諸士は、無礼講ぶれいこうとあって、正月のように、昼から頬を赤く染めていた。
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
安斉先生は昼ごろまで辛抱しんぼうしていたが、とうとう小用がしたいといいだした。富田さんが『かまいません。舟の中は無礼講ぶれいこうですから、船頭のようにこのふなべりからなさい』
苦心の学友 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
「おりゃアいつも無礼講ぶれいこうで通っているから」と、おやじはにやりと赤い歯ぐきまで出して笑った。
耽溺 (新字新仮名) / 岩野泡鳴(著)
「さ、あとは無礼講ぶれいこうでいきましょうや。昔の一年生になったつもりで、なあ、ソンキ」
二十四の瞳 (新字新仮名) / 壺井栄(著)
なほ一層の好例は第三巻中の相撲すもう、第八巻中の無礼講ぶれいこう、及狂画葛飾振かつしかぶりなるべし。
江戸芸術論 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
何かちょっと尾頭附おかしらつきで一こん差上げたいが、まアお聞き下さい、此の通り手狭ですからお座敷を別にする事も出来ませんから、孝助殿も此処こゝへ一緒にいたし、今日は無礼講ぶれいこうで御家来でなく
林間に酒を暖めて紅葉こうようを焚く——夜は夜ながらに焚き火が風情をそえて、毎年この夜は放歌乱舞、剣をとってはもろくとも、酒杯にかけては、だいぶ豪の者が揃っていて、夜もすがらの無礼講ぶれいこうだ。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
伊兵衛の狛笛こまぶえの一曲が終りますと、夜宴の無礼講ぶれいこうはここにくずれて、阿佐ヶ谷連中ののうがかりを皮切りに、赤い顔をならべた郷士たちが、野趣横溢やしゅおういつな武蔵野歌を手拍子でうたえば、珍しく
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
祭りのあいだは、微罪の者があっても、いたずらにしばるな。喧嘩があったらなだめてやれ。盗人を追うよりも、盗み心を起さぬよう、和気をたっとんで窮民には施しをせい。——祭日中無礼講ぶれいこうの札を建てよ。
新書太閤記:02 第二分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
無礼講ぶれいこうじゃ」
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)