瀬戸内海せとないかい)” の例文
昭和三年四月四日、農山漁村のうさんぎょそんの名が全部あてはまるような、瀬戸内海せとないかいべりの一寒村へ、若い女の先生が赴任ふにんしてきた。
二十四の瞳 (新字新仮名) / 壺井栄(著)
太平洋岸や瀬戸内海せとないかい沿岸の多くの場所では、いわゆる陸軟風と季節的な主風とが相殺するために、夕なぎの時間が延長されるのであるが、東京では
涼味数題 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
東を見れば、大阪湾をへだてて紀伊きい半島が、西を見れば海峡かいきょうをへだてて四国の山々、更に瀬戸内海せとないかいにうかぶ島々が、手にとるように見渡せるのである。
少年探偵長 (新字新仮名) / 海野十三(著)
良寛さんが、これから二十年あまり送ることになつた備中の国、玉島は、瀬戸内海せとないかいに面した港町であつた。瀬戸内海が細長く陸へひこんで湾になつてゐる。
良寛物語 手毬と鉢の子 (新字旧仮名) / 新美南吉(著)
馬關海峽ばくわんかいけうき、瀬戸内海せとないかいり、それより紀伊海峽きいかいけうでゝ潮崎うしほざきめぐり、遠江灘とほとほみなだ駿河灣するがわん相模灘さがみなだ沿岸えんがん沿ふて、およ波濤はたうつところ、およ船舶せんぱくよこたはるところ海岸かいがんちかいへいうせらるゝ諸君しよくん
島へ渡ったのは、たぶん大阪おおさか高知こうち間飛行の話の時に思い浮かべた瀬戸内海せとないかいの島が素因をなしているかと思われる。
三斜晶系 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
私が初めて平円盤蓄音機に出会ったのは、瀬戸内海せとないかい通いの汽船の客室であったように記憶する。
蓄音機 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
夏期瀬戸内海せとないかい地方で特に夕なぎが著しいのはどういうわけかと思って調べてみると、瀬戸内海では、元来どこでもいったいに強くない夏の季節風が、地勢の影響のために特に弱められている。
海陸風と夕なぎ (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)