トップ
>
瀝青
>
チャン
ふりがな文庫
“
瀝青
(
チャン
)” の例文
ある朝、一八四五年七月のある記憶すべき朝、
瀝青
(
チャン
)
のいっぱいはいった黒い
釜
(
かま
)
がけむってるのがそこに突然見られた。
レ・ミゼラブル:05 第二部 コゼット
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
O君はそこを通る時に「どっこいしょ」と云うように腰をかがめ、砂の上の何かを拾い上げた。それは
瀝青
(
チャン
)
らしい黒枠の中に横文字を並べた木札だった。
蜃気楼
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
瀝青
(
チャン
)
みてえに暑くって、仲間の奴らあ黄熱でばたばた
斃
(
たお
)
れる
処
(
とこ
)
にもいたことがあるし、地震で海みてえにぐらぐらしてる御結構な土地にもいたことがある。
宝島:02 宝島
(新字新仮名)
/
ロバート・ルイス・スティーブンソン
(著)
飯を食うと、ぼくは直ぐAデッキに出て、コオチャア黒井さんが昼寝している横の、デッキ・チェアに
腰
(
こし
)
を降し、
瀝青
(
チャン
)
のように、たぎった海を見ています。
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
大石を切り出し大木を倒し、
瀝青
(
チャン
)
を練り彫刻を施し、着々と工事を進めて行った。と、障害にぶつかった。
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
▼ もっと見る
私に飛びかかって来て、両手で馬勒に縋りついて、顔も手も
瀝青
(
チャン
)
だらけにしながら身悶えて泣くのです。
女房ども
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
強い潮の香に混って、
瀝青
(
チャン
)
や油の匂いが濃くそのあたりを立て
罩
(
こ
)
めていた。
冬の蠅
(新字新仮名)
/
梶井基次郎
(著)
「万年雪」の氷っているものは、幾らかの
碧味
(
あおみ
)
を見る。しかし大石の下になって凍っている雪などを見ると、内部からの光の反射を妨げるために、暗黒で透明で、
瀝青
(
チャン
)
の色に見えることがある。
高山の雪
(新字新仮名)
/
小島烏水
(著)
勿論この
瀝青
(
チャン
)
様のものが、ウラニウムを含むピッチブレンドであることは云うまでもあるまい。そして、僕がいつぞや指摘した四つの聖僧屍光、それがことごとくボヘミア領を取り囲んでいるのだ。
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
水中燃焼物もアルキメデスの名を汚すものではなく、沸騰せる
瀝青
(
チャン
)
もバイヤールの名を汚すものではない。戦争はすべて恐怖であり、武器を選ぶの暇はない。
レ・ミゼラブル:08 第五部 ジャン・ヴァルジャン
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
瀝青
(
チャン
)
が板の
接目
(
つぎめ
)
で泡立っていた。その場所に漂う気持の悪い悪臭が私の胸を悪くさせた。もし熱病や赤痢を嗅げる処があるとするなら、あの厭な碇泊所こそ正にそれであった。
宝島:02 宝島
(新字新仮名)
/
ロバート・ルイス・スティーブンソン
(著)
一里四方の城壁で、
漆喰
(
しっくい
)
と
煉瓦
(
れんが
)
と
瀝青
(
チャン
)
とをもって、堅固に造られているのである。高さおおかた五十尺、その厚さに至っては十人の男が肩を並べて自由に歩けるほどであった。
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
瀝青
(
チャン
)
を塗ったように黒くなることがある、「黒い雪」というものは、私は始めて、その硫黄岳の隣りの、穂高岳で見た、黒い雪ばかりじゃない、「赤い雪」も槍ヶ岳で私の実見したところである。
高山の雪
(新字新仮名)
/
小島烏水
(著)
足下の砂浜は
瀝青
(
チャン
)
のようで、足の裏はすいついてしまう。それはもう砂ではなくて
黐
(
もち
)
である。
レ・ミゼラブル:08 第五部 ジャン・ヴァルジャン
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
森の中の
瀝青
(
チャン
)
のような、
玄
(
くろ
)
ずんだ水溜りは、川流が変って、孤り残された上へ、この頃の雨で
潦
(
にわたずみ
)
となったのであろう、その周囲には、緑の匂いのする、
黴
(
かび
)
の生えた泥土があって、
踝
(
くるぶし
)
まで吸いこまれる
梓川の上流
(新字新仮名)
/
小島烏水
(著)
瀝青
(
チャン
)
を塗った
庇帽
(
ひさしぼう
)
、恐ろしいきたない毛織りの
頭巾帽
(
ずきんぼう
)
、それから短い仕事着や
肱
(
ひじ
)
のぬけた黒い上衣、多くは婦人用の帽子をかぶり、またある者は
籠
(
かご
)
をかぶり、毛深い胸が現われており
レ・ミゼラブル:07 第四部 叙情詩と叙事詩 プリューメ街の恋歌とサン・ドゥニ街の戦歌
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
瀝青
(
チャン
)
を塗った柳編みの屋根のついてる一種の従軍行商人の小さな車のようなものが止まっていて、
轡
(
くつわ
)
をつけたまま
蕁麻
(
いらくさ
)
を食ってる飢えたやせ馬がそれにつけられていて、その車の中には
レ・ミゼラブル:05 第二部 コゼット
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
“瀝青(歴青)”の解説
歴青、瀝青(れきせい)は、天然または人工の炭化水素からなる化合物、またはその化合物および混合物で、非金属誘導体などの混合物の一般的総称。ビチューメン(ビチューム、ビチウメン、Bitumen)、チャン (chian turpentine) とも呼ぶ。
天然アスファルト・コールタール・石油アスファルト・ピッチなどの種類があり、二硫化炭素 (CS
2
) に溶ける特性がある
(出典:Wikipedia)
瀝
漢検1級
部首:⽔
19画
青
常用漢字
小1
部首:⾭
8画
“瀝青”で始まる語句
瀝青様
瀝青色
瀝青黒