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漕付
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こぎつ
ふりがな文庫
“
漕付
(
こぎつ
)” の例文
岸本に言わせると、彼と節子とはまだ
一歩
(
ひとあし
)
踏出したばかりであった。ある意味から言えば、
漸
(
ようや
)
くこんな境地まで
漕付
(
こぎつ
)
けたばかりであった。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
これより以後多くの文人が続出して、代る代るに文壇を開拓して仏露の自然主義まで
漕付
(
こぎつ
)
けるにおよそ二十年を費やしている。
二葉亭四迷の一生
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
大胆にもR市の海岸に在る貸ボート屋の
櫂
(
かい
)
を二本盗み出し、左右のクラッチの穴へ二本の手拭を通して
櫂
(
かい
)
を結び付け、暗夜を便りにS岬の岩角に
漕付
(
こぎつ
)
け
S岬西洋婦人絞殺事件
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
文「吉公、可愛相なことをしたの、とうとう死んでしまった、折角骨を折って
此処
(
こゝ
)
まで
漕付
(
こぎつ
)
けて、もう一丁も
行
(
ゆ
)
けば国か島かへ
上
(
あが
)
れるものを、一体
何
(
ど
)
うしたのか知らん」
後の業平文治
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
お種は、満洲から来た実の便りに、漸く彼も信用のある
身
(
からだ
)
に成って、東京に留守居するお倉へ月々の生活費を送るまでに
漕付
(
こぎつ
)
けたことを話し出した。
家:02 (下)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
▼ もっと見る
到頭越後まで
漕付
(
こぎつ
)
けやした、だん/\尋ねたところが、
斯
(
こ
)
う/\いう方が
何処其処
(
どこそこ
)
へ泊ったと云いやすから、其処へ往って聞きますと、二三日
前
(
ぜん
)
に沖見物をすると云って船に乗り出したと聞いて
後の業平文治
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「房ちゃん達のことを思うと、種夫もよくあれまでに
漕付
(
こぎつ
)
けましたよ。どの位手数の
要
(
かか
)
ったものだか知れません」
家:02 (下)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
節ちゃんのことは
宜
(
よろ
)
しく御願い申します——私はどうにかこうにかここまで
漕付
(
こぎつ
)
けて来たようなものなんです——
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
「でしょう。その為に皆な苦心して、
漸
(
ようや
)
く今日まで
漕付
(
こぎつ
)
けた。正太さんのことなぞを考えて御覧なさい。ウッカリしていられるような時じゃありませんぜ」
家:02 (下)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
『声が高い?』叔父は笑ひ乍ら、『ふゝ、俺のやうな
皺枯声
(
しやがれごゑ
)
が誰に聞えるものかよ。それは
左様
(
さう
)
と、丑松、へえ
最早
(
もう
)
是で安心だ。
是処
(
こゝ
)
まで
漕付
(
こぎつ
)
ければ、最早大丈夫だ。 ...
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
『ああ——これまでに
漕付
(
こぎつ
)
ける俺の心配といふものは。』斯う言つて、また思出したやうに安心の溜息を吐くのであつた。『全く、天の助けだぞよ。』と叔父は附加して言つた。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
下宿に移る前の日には、岸本はあらかた世帯を畳むまでに
漕付
(
こぎつ
)
けることが出来た。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
漕
漢検準1級
部首:⽔
14画
付
常用漢字
小4
部首:⼈
5画
“漕”で始まる語句
漕
漕出
漕手
漕寄
漕刑場
漕入
漕艇
漕刑
漕戻
漕々