“漕戻”の読み方と例文
読み方割合
こぎもど100.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
しかし一ぴきもかかりません。思切って船を漕戻こぎもどしたのがの刻過ぎで、浦近く、あれ、あれです、……あの赤島のこっちまで来ると、かえって朦朧もうろうと薄あかりに月がさします。
半島一奇抄 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
すわや海上の危機はせまるとおぼしく、あなたこなたに散在したりし数十の漁船は、にぐるがごとく漕戻こぎもどしつ。観音丸かんのんまるにちかづくものは櫓綱ろづなゆるめて、この異腹いふくの兄弟の前途をきづかわしげに目送もくそうせり。
取舵 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)