滅法界めっぽうかい)” の例文
すると医者はたいへんあわてて、まるでのろしのように急に立ちあがって、滅法界めっぽうかいもなく大きく黒くなって、途方とほうもない方へ飛んで行ってしまいました。
ひのきとひなげし (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
と思う途端に、駕籠の先棒さきぼうがだしぬけに頓狂な声で、「おい、この駕籠は滅法界めっぽうかいに重くなったぜ」と、呶鳴った。
箕輪心中 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
前髪立ちの若衆わかしゅうと、三十前の年増としまだ……年上の女に可愛がられていい気でいる奴もあれば、ずんと年下の男を滅法界めっぽうかいに好く女もあらあ——油断ゆだんがなるものか。
大菩薩峠:05 龍神の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
わたしは素敵滅法界めっぽうかいの報道をもたらして来たのです。私もとうとう移転することになりましたよ。
昼の鳥とはまったく違っている夜鳥ナイトバードの怪しい叫び声、めくら滅法界めっぽうかいに飛んでくる大きい甲虫かぶとむしの唸り声、ことにこれらの小さい虫の合奏曲コーラスが突然やんで半分しかきこえない時には
現在、死人の戸籍に這入っているその少女は、近いうちに自分のシャン振りと負けず劣らずの、ステキ滅法界めっぽうかいもない玉の如き美少年と、偕老同穴かいろうどうけつちぎりを結ぶ事になっているのだ。
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
背は高からず、低からず、中肉で色は滅法界めっぽうかい白い。服装なりは、さあ——何しろ旅から旅を渡り歩いているんだから、おそろしく汚のうがしょうが、なによりの目標めじるしてえのがこの右の眼の下の黒子ほくろだ。
有「へえー、あの国にいて米搗こめつきをしてえた、滅法界めっぽうかいに力のある……」
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「水の綺麗な沢で出来ます。静岡は滅法界めっぽうかいもなく水の好いところで、大東館のあの水も掘抜であります。水に不自由がありませんから、人口七万、県下一番の大都会ですが、水道の必要がありません」
ぐうたら道中記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
第一は入場料がその時代として滅法界めっぽうかいに高いことで、桟敷さじき一間ひとまが十三円八十銭、平土間ひらどまは二人詰めで一間四円五十銭というのであるから、団十郎が見たい見たいと言いながらも
明治劇談 ランプの下にて (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
なにしろ強い人でございます、滅法界めっぽうかいもなく強い人でございます。
大菩薩峠:10 市中騒動の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
「一円の月謝! 滅法界めっぽうかいもない」
凡人伝 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
滅法界めっぽうかいもない」
凡人伝 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
滅法界めっぽうかい寒い」
大菩薩峠:13 如法闇夜の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)