浪花なには)” の例文
浪花なには座で『忠臣蔵』をつてゐる鴈治郎なども、おかる道行みちゆきのやうな濡事ぬれごとを実地ひまがあつたら一度青蓮寺に参詣まゐつたがよからう。
はてはますます暴動つのりてすべよく米を渡さぬ家は打毀うちこはしなどする程に、市街の騒擾そうじよう大かたならず、は只浪花なにはのみならず諸国に斯る挙動ありしが
浪花なにはの町はづれ、俳諧師鬼貫のわび住居。軒かたむき縁朽ちたるあばら家にて、上の方には雪にたわみたる竹藪あり。下の方の入口には低き竹垣、小さき枝折戸あり。
俳諧師 (旧字旧仮名) / 岡本綺堂(著)
春あり成長して浪花なにはにあり 梅は白し浪花橋らうくゎけう辺財主の家 春情まなび得たり浪花なには風流ふり
俳人蕪村 (新字新仮名) / 正岡子規(著)
「甚兵衛さんならじゃうるりぢゃないや。きっと浪花なにはぶしだぜ。」
雪渡り (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
十二日から道頓堀の浪花なには座に名人会といふのが開かれてゐる。長唄の孝次郎かうじらう、勝四郎、常磐津ときはづ和佐わさ、清元の家内やな舞踊をどり鹿島かしま恵津子——どれを見ても、格別名人らしい顔触でないのが愛嬌である。
やぶ入や浪花なにはを出て長柄川ながらがは
俳人蕪村 (新字新仮名) / 正岡子規(著)