油然ゆぜん)” の例文
れいなるかなこの石、てんあめふらんとするや、白雲はくうん油然ゆぜんとして孔々こう/\より湧出わきいたにみねする其おもむきは、恰度ちやうどまどつてはるかに自然しぜん大景たいけいながむるとすこしことならないのである。
石清虚 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
その時僕の主我のつのがぼきり折れてしまって、なんだか人懐ひとなつかしくなって来る。いろいろの古い事や友の上を考えだす。その時油然ゆぜんとして僕の心に浮かんで来るのはすなわちこれらの人々である。
忘れえぬ人々 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)