水辺すいへん)” の例文
松と草藪くさやぶ水辺すいへんの地面と外光と、筵目むしろめも光っている。そうして薄あかい合歓ねむの木の花、花、花、そこが北島、むこはるかが草井の渡し。
木曾川 (新字新仮名) / 北原白秋(著)
水辺すいへんの行事としての言葉の綾が珍重せられたので、それにもまた最初何かの木の小枝を以て、身を撫でて流してる習俗が裏打ちをしているかと思う。
年中行事覚書 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
まちなかで、こうしたかたいなかの水辺すいへんにあるような緑色みどりいろくさるのは、めずらしいといわなければなりません。
ガラス窓の河骨 (新字新仮名) / 小川未明(著)
ところがここは一万一千五百一万一千尺程で、地の高低も違って居る。その上に水辺すいへんではあり日光の当りがよいものですから、この辺の柳はもはや青い芽を発して居たです。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
孝「貴方あなたは泳ぎを御存じがないから水辺すいへんのお遊びはよろしくございません、それともたって入っしゃいますならば孝助お供いたしましょう、何うか手前お供にお連れください」
「ウウム水辺すいへんだな……これよりたつみの方、それも遠くはない所に」
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)