氣色きしよく)” の例文
新字:気色
あての性分として、これ丈はどうしても納めて貰はん事には、氣色きしよくが惡うて堪らん。何だ彼だといはんと、しまつといておくんなはれ。
大阪の宿 (旧字旧仮名) / 水上滝太郎(著)
其話それを今日は㧞きにして貰ひたし、氣色きしよくのすぐれず頭のいたきに、ぶらりと家を出でたれど、さして面白き處もなければ、常に憂きことを知らず顏の
花ごもり (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
見るに今夜こくに死する者がかくすこやかに有べき樣もなし如何なればおうが斯樣の事を云しかと不審ふしんするも道理ことわりぞかし然れば靱負は甚だ氣色きしよくそんじ居ける故主は昨日もらひし金子きんすにてさけさかな
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
顏容かほかたちさへ稍〻やつれて、起居たちゐものうきがごとく見ゆれども、人に向つて氣色きしよくすぐれざるを喞ちし事もなく、偶〻たま/\病などなきやと問ふ人あれば、却つて意外の面地おももちして、常にも増して健かなりと答へけり。
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)