毒気どくき)” の例文
旧字:毒氣
そののち僕は君とまじわっている間、君の毒気どくきてられて死んでいた心を振い起して高いのぞみいだいたのだが、そのお蔭で無慙な刺客しかくの手にかかって
それを命があんなにけいべつして広言こうげんをおきになったので、山の神はひどくおこって、たちまち毒気どくきふくんだひょうを降らして、命をおいじめ申したのでした。
古事記物語 (新字新仮名) / 鈴木三重吉(著)
それも粋な由兵衛奴よしべゑやつこか何かでね。だから君、始めてつたお客は誰でもまあ毒気どくきをぬかれる。
南瓜 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
あの、円肌まるはだで、いびつづくった、尾も頭も短う太い、むくりむくり、ぶくぶくと横にのたくりまして、毒気どくきは人を殺すと申す、可恐おそろしく、気味の悪い、野槌のづちという蛇そのままの形に見えました。
多神教 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
これは水飴の中へ入れてもく分りますので、毒虫を煮てらんびきにいたして、その毒気どくきを水飴の中へ入れたら、やわらかになって宜かろうというお頼みで、迂濶うっかりお目通りをして其の事を伺い
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
疳癪持の大西氏も毒気どくきをぬかれて一緒になつて笑ひ出した。