残惜のこりおし)” の例文
旧字:殘惜
とめても無益むやくと綾子は強いず、「しかしこのままお別れは残惜のこりおしい。お住居すまいは? せめてお名だけ。」と余儀無く問えば、打笑いて
貧民倶楽部 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
なぎさなみの雪を敷いて、砂に結び、いわおに消える、その都度つど音も聞えそう、ただ残惜のこりおしいまでぴたりとんだは、きりはたりはたの音。
春昼 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
二足ふたあし三足みあし五足いつあし十足とあしになって段々深く入るほど——此処ここまで来たのに見ないで帰るも残惜のこりおしい気もする上に、何んだか、もとへ帰るより、前へ出る方がみちあかるいかと思われて、急足いそぎあしになると
春昼 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「妙に残惜のこりおしいようだよ。」
南地心中 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)