正念しょうねん)” の例文
厨子ずしは、木瓜ぼけ厨子、正念しょうねん厨子、丸厨子(これは聖天様を入れる)、角厨子、春日かすが厨子、鳳輦ほうれん形、宮殿くうでん形等。
室香はお吉にいてより三日目、我子わがこゆだぬるところを得て気も休まり、ここぞ天の恵み、臨終正念しょうねんたがわず、やすらかなる大往生、南無阿弥陀仏なむあみだぶつ嬌喉きょうこうすいはてを送り三重さんじゅう
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
と遺言して正念しょうねんたがわず、合掌乱るることなく念仏を高声に数十遍称えて美事に往生をした。
法然行伝 (新字新仮名) / 中里介山(著)
「三ごうに悪を造らず、諸々もろもろ有情うじょういためず、正念しょうねんに空を観ずれば、無益むやくの苦しみは免るべし」
般若心経講義 (新字新仮名) / 高神覚昇(著)
分別は二義である。人は彼の沈黙において自然の言葉を聞かねばならぬ。無想に勝る有想があろうか。無念のみが正念しょうねんである。この境に入ることなくして、何の安心があろうか、何の静寂があろうか。
工芸の道 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
はじめて釈迦所説しょせつ正念しょうねんに触れることができるのである。
新西遊記 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)