正妻せいさい)” の例文
武士道ぶしどうと言えば、女は眼中がんちゅうにないような風に言われながら、正妻せいさいとなるとなかなか格式を与えて十分な権利を主張せしめている。
女性崇拝 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
そのころ半年はんとしあまり足繁あししげかよつてくるおきやくなかで、電話でんわ周旋屋しうせんやをしてゐる田中たなかをとこが、行末ゆくすゑ表向おもてむ正妻せいさいにするとふはなしに、はじめはそのをとこのアパートに
吾妻橋 (新字旧仮名) / 永井荷風永井壮吉(著)
「と申したところで、水茶屋では公儀へのきこえもあることだからとても正妻せいさいになおすというわけにはいかんが、一生その、なんだな、ま、めかけということにしてだな、そばへおいて寵愛ちょうあいしたいと思う」
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)