よろこび)” の例文
旧字:
けれ共、その心をさぐり入って見た時に、未だ若く、よろこびに酔うて居る私共でさえ面を被うて、たよりない涙に※ぶ様になる程であるか。
大いなるもの (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
親戚しんせき朋友ほうゆうの注意すべきことなり。一度ひとたび互に婚姻すればただ双方両家りょうけよしみのみならず、親戚の親戚に達して同時に幾家のよろこびを共にすべし。
旧藩情 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
汝今日の狂喜は他日汝の裏に熟して荘重深沈なるよろこびと化し汝の心はまさにたのしき千象の宮、静かなる万籟ばんらいの殿たるべし。
小春 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
遠く行く情人の足を蹈みとゞまらすもの、猛く勇む雄士ますらをの心を弱くするもの、情たがよろこび薄らぎたる間柄をめ固うするもの、涙のほかには求めがたし。人世涙あるは原頭に水あるが如し。
山庵雑記 (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
茶山は良夜には会したけれども、よろこびを成すことを得なかつた。それは半月前に姪孫女を失つたからである。わたくしは系図と茶山の書牘とに由つて、此女児の誰なるかを検せようとした。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
よろこびにわへも導け。