歓待もてなし)” の例文
誠心まごころのこもった主人の態度や愛嬌あいきょう溢れる娘の歓待もてなしは、彼の心を楽しいものにした。殊にお露が機会おりあるごとに彼へ示す恋の眼使いは、彼の心を陶然とうぜんとさせた。
八ヶ嶽の魔神 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
酒肴しゅこうも座が狭くなるほどにも運び出すような歓待もてなしぶりをしたのを、卑しい従者らは大恩恵にったように思って喜んだから、主人の少将もけっこうなことに思い
源氏物語:52 東屋 (新字新仮名) / 紫式部(著)
無理に内へ連れ込んで、湯に入れるやら、着物を着せ換えるやら、家内が総がかりで下へも置かない歓待もてなしに、乞食は面食らった。嬉しいのを通り越して、かれは怖ろしくなった。
ただそのさいなにより好都合こうつごうであったのは、ひめ父君ちちぎみめずらしく国元くにもとかえってられたことで、御自身ごじしん采配さいはいって家人がじん指図さしずし、心限こころかぎりの歓待もてなしをされために、すこしの手落ておちもなかったそうでございます。
その歓待もてなし、昨日にも増り(以下原文十行抹殺)。
白くれない (新字新仮名) / 夢野久作(著)
重々しい身でわざわざこの山寺へ訪ねて来てくれたとしてあらんかぎりの歓待もてなしをした。
源氏物語:56 夢の浮橋 (新字新仮名) / 紫式部(著)