横奪よこど)” の例文
「嫌だねえ、万一お静さんから親分を横奪よこどりするような事があったら、このお町さんが生かしちゃおかないって、そう言っておくれ」
「端公二人には、充分な金をくれてやり、そして『宋公明の身は、梁山泊で横奪よこどりされた』といわせてみたらどんなものでしょう」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「頭目、そ、その扇型のやつはどうしたのです。それはいつか、猫女めに横奪よこどりされたはずじゃありませんか」
少年探偵長 (新字新仮名) / 海野十三(著)
「お松様、あなたが、坊ちゃまを横奪よこどりなさるんですか。坊ちゃまの周囲まわりには怖い人ばかり附いていますね」
大菩薩峠:21 無明の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
私は自分の軽率かるはずみから、他人の妻を横奪よこどりした事になるではないか。
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
途中で横奪よこどりされてしまったというのである。なんのことはない、その泣きごとを訴えにここへ馳け込んで来たようなものだった。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
紅屋へ入り込んで、主人や彦太郎を脅し、身上しんしょうの半分くらいは横奪よこどりしようとしたが、番頭の彦太郎が忠義者で、どうしてもうまく行かなかった。
ようし、それならこっちも上わ手をいって、横奪よこどりしてやろうというわけ。……どうですえ、旦那、ご分別は
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「知れた事を言えッ、この女は近頃の大物だ。手前などに横奪よこどりされてたまるものか」
すべてのいきさつをねんごろにさとされたら、それでもなお、自分を本位田家の仇とはよもいいきれまい、また息子の嫁を横奪よこどりして逃げた曲者しれものともまさかうらむまい。
宮本武蔵:04 火の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
おいらの手から横奪よこどりした、あのわしをかえせ、おいらの手にタッタいまかえせ!
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「——さらわれてなろうか、夜光の短刀。ここまで事をぎつけて来ながら、日本左衛門ともあろうものが、お蝶のような小娘ずれに、横奪よこどりされたと言われちゃあ、末世末代、緑林仲間の笑われぐさ」
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
目については、途中、敵の手に横奪よこどりされるおそれがある。
黒田如水 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
もともと一年か半年の間に横奪よこどりした都府であるから。
三国志:03 群星の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)