根下ねさが)” の例文
さまざまな玩具おもちゃを手にさげたその中には根下ねさがりの銀杏返いちょうがえしや印半纏しるしばんてんかしらなどもまじっていて、幾艘いくそう早舟はやぶねの音をそろえ、碇泊ていはくした荷舟にぶねの間をば声を掛け合い、しずかうしおに従って流れて行く。
深川の唄 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
根下ねさがりの丸髷に大きな珊瑚珠さんごじゅかんざしを挿し、鼈甲べっこうくしをさしていた、ことさらに私の眼についているのは、大きくとった前髪のあまりを、ふっさりきって二つにわけ、前額ひたいの方へさげている。
後向うしろむきだったから、顔は分らなかったが、根下ねさがりの銀杏返いちょうがえしで、黒縮緬くろちりめんだか何だかの小さな紋の附いた羽織を着て、ベタリと坐ってる後姿が何となく好かったが、私がお神さんと物を言ってる間
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
根下ねさがりの丸髷まるまげ思ふさま髱後たぼうしろ突出つきいだ前髪まえがみを短く切りてひたいの上にらしたり。
矢はずぐさ (新字旧仮名) / 永井荷風(著)