はつ)” の例文
七人なゝたりの淑女は、とある仄闇ほのぐらき蔭(縁の葉黒き枝の下なる冷やかなる流れの上にアルペの投ぐる陰に似たる)はつる處にとゞまれり 一〇九—一一一
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
その人の歌ったあかくしてしかも凍りはつるという太陽は北極の果を想像しないまでも、暗い巴里の冬の空に現に彼が望み見るものであることを想って見た。
新生 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
文「新兵衞殿、ようお出で下された、かく成りはつるも自業自得、致し方がござらぬ、最早出帆の時刻、お役人にお手数てすうをかけては相済まぬから、早くお帰り下さい」
後の業平文治 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
むざ/\と山賊どもの手にかゝあひはつるも殘念なりとしきりに思案しあん
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
も添へてやりたし嗚呼此の脊に負はるゝ子あとより歩む娘今より十年の後はいかになりて在るや二十年の後は何となるべきや人生れて貧賤なればとて生涯それにてはつるにあらず𢌞まはり合せさへよくば富貴ふうきの者となりて雨に戀しきみのゝ國に昔し苦みし事を
木曽道中記 (旧字旧仮名) / 饗庭篁村(著)