“月前（げつぜん）” の例文
孤村（こそん）の温泉、——春宵（しゅんしょう）の花影（かえい）、——月前（げつぜん）の低誦（ていしょう）、——朧夜（おぼろよ）の姿——どれもこれも芸術家の好題目（こうだいもく）である。
草枕 (新字新仮名) ／ 夏目漱石(著)
生暖（なまぬる）い、腥（なまぐさ）い、いやに冷（つめた）く、かび臭い風が、颯（さっ）と渡ると、箕（み）で溢（こぼ）すやうに月前（げつぜん）に灰汁（あく）が掛（かか）つた。
光籃 (新字旧仮名) ／ 泉鏡花(著)
風道（かざみち）の光すがしき鴨萱は月前（げつぜん）に見て跳（と）ぶべかりけり
白南風 (旧字旧仮名) ／ 北原白秋(著)
鵂鶹声在月前枝　鵂鶹（きゅうりゅう）の声（こえ）は月前（げつぜん）の枝（えだ）に在（あ）り
西瓜 (新字新仮名) ／ 永井荷風(著)
風道（かざみち）の光すがしき鴨萱は月前（げつぜん）に見て跳（と）ぶべかりけり
白南風 (新字旧仮名) ／ 北原白秋(著)