たやす)” の例文
しかし、その隙だらけの新九郎へ、戒刀をとっては宇内うだいの山伏の中でも音に聞えた河内房が、なかなかたやすくは打ち込んで行かれなかった。
剣難女難 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
これほどたやすい事は御座いませんが、一萬二千石の小堀家の興廢となると、家中の者の難儀は思ひやられます。
殊にモーパッサンはフローベールよりは遥かにたやすいので、訳していても気が楽であった。原文で読んでもフローベールより、ぐっと呑気な気持で読み流せるのが僕等にはありがたいのである。
銷夏漫筆 (新字新仮名) / 辰野隆(著)
氏神の境内まで飛ばないと、蜻蛉とんぼさえたやすくは見られない、雪国の城下でもせせこましい町家に育ったものは、瑠璃るり丁斑魚めだか、珊瑚の鯉、五色ごしきふなが泳ぐとも聞かないのに、池を蓬莱ほうらいの嶋に望んで
遺稿:02 遺稿 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
これほどたやすい事はございませんが、一万二千石の小堀家の興廃となると、家中の者の難儀は思いやられます。
いとたやすいお質問たずねじゃ、それらのぎょうはすべて、修行のさわりとなるために、自力を頼んで排した難行道のすがたなのです、他力易行の門には敢てないことじゃ、あるがままのすがたにまかせておくのみで
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)