明巣あきす)” の例文
家康に従ってはいるが、もし家康が信長へ加勢として上方かみがたにでも遠征したら、その明巣あきすに遠州を掠取かすめとらんと云うはらもないではない。
姉川合戦 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
やゝ餘炎ほとぼりのさめたる頃に信さんお前は腹を立つか知らないけれど時の拍子だから堪忍して置いて呉んな、誰れもお前正太が明巣あきすとは知るまいでは無いか
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
誰もそれに気がつかないで、可哀そうにその男は身許不詳の明巣あきすねらいにされて、近所の寺へ投げ込まれてしまったんですが、実は善昌のむかしの亭主の弟だそうです。
半七捕物帳:21 蝶合戦 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
すなわち、御寮人様、市へお練出しのお供を、おこのみとあって承ります。……さてまた、名代娘のお美津さんは、御夫婦これに——ええ、すなわち逢阪の辻店は、戸を寄せ掛けた明巣あきすにござります。
南地心中 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
なんぢ薄のろの哲学者よ……兎角汝は人の亭主の明巣あきすねらひたがる。
やや余炎ほとぼりのさめたる頃に信さんお前は腹を立つか知らないけれど時の拍子だから堪忍して置いてくんな、誰れもお前正太が明巣あきすとは知るまいでは無いか
たけくらべ (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
やゝ餘炎ほとぼりのさめたるころのぶさんおまへはらつからないけれどとき拍子ひようしだから堪忍かんにんしていてんな、れもおまへ正太しようた明巣あきすとはるまいではいか
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)