旅宿はたごや)” の例文
大津は無名の文学者で、秋山は無名の画家で不思議にも同種類の青年がこの田舎いなか旅宿はたごやで落ち合ったのであった。
忘れえぬ人々 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
東京を立つて初めての、一行は山の上の旅宿はたごやで泊る事になつた。旅宿はたごやには大きな部屋が無かつたので、一行は廊下を隔てた二つのへやに分宿しなければならなかつた。
なげき江戸表へ奉公に出でたることより憑司がせがれ昌次郎に金子騙取かたりとられしこと其他そのたありし始末しまつ委細申ければ公用人はとくと聞き終り如何にもうつたへの趣き道理の樣には聞ゆれ共片口かたぐちにては定め難し何れ主人へも申上べき間旅宿はたごやへ下り明朝まかり出よとお專與惣次は
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
文豪と旅宿はたごやの亭主5・2(夕)
得たれば江戸風えどふうに氣がきいて居るとか云れて評判ひやうばんよく少光陰わづかの中に仕出して段々だん/\普請ふしん建直たてなほし今にては勿々なか/\立派りつぱなる身上しんしやうになりしといふ金毘羅こんぴらへ行たる者が歸りてのはなしなり丸龜にて江戸屋清兵衞と云ば一番の旅宿はたごやだと云事なればよろこ旁々かた/″\たづね度は思ひしか共五日や十日にては
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)