方図ほうず)” の例文
旧字:方圖
志「今日は臥竜梅へ梅見に出かけましたが、梅見れば方図ほうずがないというたとえの通り、あきたらず、御庭中ごていちゅう梅花ばいかを拝見いたしたく参りました」
「いやいやわしは反対じゃ。すべて女という者は甘やかしたら方図ほうずがない。増長して始末におえぬものじゃ」
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
……ききゃア、この頃、平賀源内という大山師をかつぎ出して、妙に、しゃくったような真似ばかりするが、あんまり方図ほうずもなくのさばると、いずれ、いい眼は見ねえぜ。
きもしない。「早くお拭きなね」と母親はしかッた。「膝の上へ茶をこぼして、ぽかんと見てえる奴が有るもんか。三歳児みつごじゃア有るまいし、意久地の無いにも方図ほうずが有ッたもンだ」
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
言わせておけば方図ほうずもない、いったい貴様は何者だ、山崎譲の名をかたって拙者共の部屋へ案内もなく推参する不届者ふとどきもの、拙者共の知っている山崎は貴様のような盲目めくらではない、病人ではない
大菩薩峠:08 白根山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
「全くあれは方図ほうずのない利口ばかだ」
或る女:2(後編) (新字新仮名) / 有島武郎(著)
出来そこないの冬瓜とうがんのような方図ほうずもない顎をぶらさげ、白痴こけか薄のろかと思われるような間のびのした顔をしているくせに、感がいいというのか、どんな入りくんだアヤでも
方図ほうずのねえ馬鹿野郎だ」