斯樣こん)” の例文
新字:斯様
「夏は好いだらうね。斯樣こんなところへ一月ばかりも來て居たいね。」と互に言ひ合つた。天城の山麓だけあつて、寒いことも寒い。
伊豆の旅 (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
隨いて行つた娘は斯樣こんなことを言つて學校の方に居る子供の噂さで持切つて居ました。昨日學校の教場で家のものの姿が見えなく成つたと言つて泣いたといふ話などもして笑ひました。
斯樣こんな宿ぢや解らないサ。」とK君は笑つた。「料理屋へでも行つて飮食のみくひして見なけりや——僕はよく左樣さう思ふよ、其土地土地の色は彼樣あゝいふ場所へ行つて見ると、一番よく出てる。」
伊豆の旅 (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
生徒せいとらないひとから斯樣こんなことをはれたものですから、そのおばあさんをよくましたら、みぎにはやまからでもつてたやうなほそつえをついて、ひだりにはかごげてました。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
まあ、斯樣こんなかじかんだをして、よくさむくありませんね。そのかはり、おまへさんが遠路とほみちかよふものですから、丈夫ぢやうぶさうにりましたよ。御覽ごらん、おまへさんのほゝぺたのいろくなつてたこと。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
K君は私の方を見て斯樣こんなことを言出した。
伊豆の旅 (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)