斑雪はだれ)” の例文
御食みけむかふ南淵山みなぶちやまいはほにはれる斑雪はだれのこりたる 〔巻九・一七〇九〕 柿本人麿歌集
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
例年ならば神奈備の杉むらがくれに、ちらほら花もまじらうといふ時分なのだが、今年はまだまだ、斑雪はだれの方がはばを利かせてゐる始末だ。この分では、北ぐにはまだ雪のなかだらう。
春泥:『白鳳』第一部 (新字旧仮名) / 神西清(著)
田は鋤きてまたえたらし土の斑雪はだれの色の明れる見れば
夢殿 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
夜見来よみこの川のくらくして、 斑雪はだれしづかにけむりだつ。
文語詩稿 一百篇 (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
いちめんの斑雪はだれに煤がながれこんで
逸見猶吉詩集 (新字旧仮名) / 逸見猶吉(著)
斑雪はだれ
大和路・信濃路 (新字新仮名) / 堀辰雄(著)
これはさきごろ降った春の斑雪はだれであろう、というので、叙景の歌で、こういう佳景を歌に詠んで、皇子に献じたもので、寓意などは無かろうのに、先学等は「下心したごころあるべし」などと云って
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
山峡を遥に小さき人の影寒むざむと追ふ斑雪はだれぬかるみ
海阪 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
岩が根の斑雪はだれににほふ紫は名しらぬ花の数群るるなり
海阪 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
蘇満国境春冴えかへり砂山の低山ひくやま斑雪はだれまた吹きれぬ
夢殿 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
三月は石炭壁に沁む雪の斑雪はだれが碧し輸炭車湯気
夢殿 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
尾は立てぬ、斑雪はだれ矢羽根
海豹と雲 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)