うやも)” の例文
うやもうて聞かれよ。——呉の黄蓋こうがいあざな公覆こうふく、すなわち三江の陣にあって、先鋒の大将をかね呉軍の軍粮総司ぐんろうそうしたり。この人、三代があいだ呉に仕え、忠節の功臣たること、世みな知る。
三国志:07 赤壁の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
老婆はそんな事に感じたのかあるいはまた私が日に一度ずつ飯を喰って少しも肉類をわぬということに感じたものか、何しろ大変私をうやもうて少しも巡礼視するような風が見えませんでした。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
喜「御意にございます、先ず本所にて面前にては申すに及ばず、蔭にても文治と呼棄よびずてにする者は一人いちにんもござりませぬ、皆文治様々々々とうやもうて居ります、これにて文治の人となりを御推察を願います」
後の業平文治 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
……だから世間の知識にもおうとく、言葉もひなび、礼儀作法とか交際事つきあいごとにもとんとおくらいが——そうした母にも、そなたは嫁女として、心からかしずいてくれるか。いや、うやもうてお添いできるか
新書太閤記:02 第二分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)