ぶた)” の例文
藤「困りますな、おこるとあの太い腕でぶたれますが、今度は取捕とっつかまるとんな目に逢うか知れまいから驚きますねえ」
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「ああ、ひどい目につた。どうもああ乱暴ぢや為様が無い。火事装束ででも出掛けなくつちやとても立切たちきれないよ。馬鹿にしてゐる! 頭を二つばかりぶたれた」
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
この膚、このかいなに、そのトタンに、二撃三撃を激しくぶたれた。撲れながら、姿見のうちなる、我にまがうおんなの顔にじっと見惚みとれて、乱れた髪の水にしずくするのさえしかと見た。
露萩 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
それに気絶するほど頭部あたまぶたれたのだから、脳病でも出なければ可いつて、お医者様もさう言つておいでださうだけれど、今のところではそんな塩梅あんばいも無いさうだよ。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
ぶたれたつて、それを悔いとは思やしないけれど、這箇こつちだつて貴方と云ふ者が有ると思ふから、もう一生懸命にかせいで、為るだけの事はちやんと為てあるのに、何ぼ慾にきりが無いと謂つても
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)