撃殺うちころ)” の例文
土饅頭の下に眠っているのは、後月あとげつのちょうど今日、兄十兵衛の木剣のために、道場でただ一打ちに撃殺うちころされた浪人の綾部大機の亡骸なきがらだった。
柳生月影抄 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
昨年であつたか岩崎某がその友人である大学生の某を誤つて撃殺うちころしたといふことを聞いた時に、縁も由縁ゆかりもない人であるけれど余は不愉快でたまらなかつた。
病牀六尺 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
みゑ「はい、昨年十一月三日の暮れ方でございまする、王子の権現さまから帰り掛けに、おとっさまは何者とも知れず、日暮ヶ岡にて鉄砲で撃殺うちころされました」
どうも水夫が水を使うて困るといったら甲比丹の云うには、水を使うたらすぐに鉄砲で撃殺うちころしてれ、れは共同の敵じゃから説諭もらなければ理由を質問するにも及ばぬ
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
社会主義だなんてかしやがったんです。おまけに犬か猫みたいに僕を撃殺うちころそうとしやがったんです。あんな奴が社会主義を製造する奴なんですから徹底的にタタキ附けとかなくちゃ……
山羊髯編輯長 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
ですから余程うまく撃殺うちころさないとその血角を取ることが出来ない。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
が明けて百姓が通り掛って騒ぎ、名主へも届けたが、甚藏は平素ふだんにくまれもの、何うか死んで呉れゝばいゝと思っていた処、甚藏が絹川べりで鉄砲で撃殺うちころされているというのを村の人達が聞込んで
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)